バンビだけを撃つ?


ある集まりに招かれて、マディソンカウンティまで行って来た。南部の典型的な食事ということだったが、カキがたくさん出たのには驚いた。私の隣に座っていた女の人は、もっともっととカキを食べ続けていたし、食べ物がひっきりなしに出て、本当に皆よく食べるなあとびっくりした。

皆明るくていい人たちだけど、かなり田舎という感じで、会話もだれかれのゴシップとか、また、これはちょっと驚いたのだけど、誰かの話をしていたのだが、今は40過ぎの人ということだけど、13歳の時、母親にひどい暴力を振るった父親を銃で撃って殺したという話。もちろん無罪で、彼のおかげで母親が助かってよかったという手柄話の結論が皆で言葉交わされており、私は、たとえ、13歳でもそんな経験があったら、その人は、ちゃんとした大人に育ったんだろうかという、みんなの雰囲気からすれば、間の外れた質問に、一瞬、そこで白けるという間の悪さ。私だけがちょっと浮いてしまった。

他の人が私に、「そこで殺さなかったら、その子のお母さんは殺されていたんだよ。手柄なことなのだ」というコメント。やっぱり、こういう田舎では銃の保持を肯定している感じがびんびん来た。

今から春にかけて狩のシーズンで、彼は13歳でも、撃つ鹿を見極めていて、どれでも撃つことはせず、狙いを定め、バンビ(小鹿)だけを選んで撃ったんだよ、と他の人が言えば、そうだよ、バンビはやわらかくて美味しいけど、大人の鹿は固くてまずいからね、と隣に座っていた女の人も、口をそろえて、元気よく同感していて。。。

あ〜あ、私は、バンビだけを狙って撃つというかわいそうな映像が浮かんできて、言葉が出なくなった。確かに、私は、ソフトシェルクラブを食べるのが好きだし、それは、やわらかくて、すべて食べられるからなんだけど、それと、小鹿だけを狙って撃つという考えはあまり変わらないのかもしれないが、私の意識の中では、やっぱり何か違うものを感じてしまったのだった。