父の思い出

日本の友人から手紙とともに、新聞記事のコピーが送られてきた。記事は父の教え子だった数学者が自分の恩師として父のことを書き綴ってあるものだった。
この記事を母に見せてあげたかった。今更ながら、二年前に亡くなった母のことや、30年前に亡くなった父のことを想い出して、胸が痛くなった。今や、身近に父のことを話す人もなく、しかも日本からこんなに遠いところにいるということを思って感傷的になった。
それでも、こうやって、もう30年も前に亡くなった父のことを記事を書いてくれて私にコピーを送ってくれる友人に心から感謝の気持ちでいっぱいである。
私の父のことを知っていて話せる大切な人たちの存在を改めて実感して感動もした。限りある人生なのだから、大切な原点を思い出し、こういう出会いと縁を大切にしたい。
記事に書かれているように、確かにおおらかに支えてくれる父だったけど、私も今は教師としていろいろ感じることも多い。父のように、私が亡くなって30年経っても教え子が私の仕事を思い出して感謝してくれるような人物になれるのだろうかと、改めて父の大きさを実感してまた悲しくなった。
教育の原点に戻って、生徒たちの才能を「引き出して」励まして支えていけるようにと、来る新年への教師としての抱負にしようと思う。