コンクール

今年も、うちの生徒を、音楽コンクールに出した。この生徒はまだ9歳なので、参加できるのは、夏の音楽キャンプの奨学金のためのものだけ。
前に書いたけれど、この生徒は才能があるけれど、今まで、ちゃんとしたレッスンを受けてなかった。貧しい家庭なので、経済的に大変だからなんだけど、この子の才能をそれなりに学校でも見てもらえて、なんと、市のファンドからレッスン代を援助してもらえることになり、私のところに来るようになったのだ。そんなわけで去年から教え始めた。彼は本当にピアノが好きで、その辺に置いてある私の楽譜を、どんどん読んで、初見で音楽性をすぐにつかんですらすらと弾いてしまうほどの才能なのに、音楽の理論などやテクニックをちゃんと習ってなかったから、かなりいい加減なところもあり、初めは、本当に苦労だった。
一つ一つ止めて、ダメ出し。お互いの中に、ピリピリとした空気が漂っていた。でも、親子で、私を信じて付いてきてくれてこの数カ月で、すごく上達した。先週のフェステイバルでは、最高の成績をもらえたし、コメントも素晴らしかった。こういう生徒に、絶対がんばって欲しいと思うと、ついピリピリモードになってしまう。
昨日も特別にレッスンした時、弾いていたのは、決して悪くないのに、私があまりにダメ出しをしたので、お母さんも彼も、落ち込み気味になってしまったので、これはいけないと思い、ほとんどできているけれど、コンクールで戦う以上は、勝てる力を出して行かなくちゃいけないからなのだから、あとは、とにかく、音楽の中で楽しんで弾いてくれればいいのだよと言っておいた。
さて、今日の本番の演奏は、素晴らしかった。テンポで少しだけ、走ったところはあったにせよ、まったくミスはなし、音楽表現や音楽性もよく出ていたし、何と言っても、音がきれいだった。そこにいた人たちの手応えもよかったし、行けそうだと思ったけれど、他の子たちの演奏を聴いて、かなり手強そうだと思ったので、ちょっとどうかな。明日、発表なのだけど、勝てても勝てなくても、演奏としていい演奏ができたのは、本当に嬉しかった。