恩師からの手紙

今夜は、Rの学校のコンサートの伴奏の仕事が入っていて、オレンジカウンティまで行き、そして、その後リッチモンドに子供を迎えに行ったので、帰ったら、真夜中になってしまった。コンサートはうまく行き、その後の運転も、心配した眠気もなく無事に行ってこれた。

ところで、日本から、大学の恩師からのお手紙と本がどっさりと送られてきた。私の母が他界したことについて、私の気持ちを気遣ってくれて、私の手紙を涙して読んでくださったとのこと。

彼は、もう80を過ぎていると思う。どうやら病気がちのようなのに、私に素晴らしい達筆で、長いお手紙を書いてくれて、しかも、身体の調子の悪いのを押してまで、最後のパラグラフに、「・・・ビールでごまかしてここまでたどり着きました。読みにくくて申し訳ありませんが、・・・」とあった。こんなに大騒動して、書いてくれたお手紙、大事にしなきゃと思った。このデジタル時代、こんな貴重なお手紙に感激してしまった。

本は、彼が持っていらした、絶版になったものなどの、貴重な「おくの細道」の何冊か。大学時代、この恩師は芭蕉の専門家であり、この人に聞けば、なにもかも分かるというほどの人だった。その上、彼は私の父を知っていた特別の関係であったので、大学で、父から聞いていた私と出会ったときのことなどについて「・・すべて夢見る想いです・・」と読んだら、私自身、泣けてきた。本当にいろんな想いがこみ上げてきた。また、昨日、Rと芭蕉について話していたばかりである。なんという偶然なのだろう。むかし読んだ芭蕉の作品の数々をもう一度読み返したいと思うときに、この絶妙なタイミングで本が幾冊も送られてくるなんて、しかも恩師から。

彼の病状説明の紙も入っていて、私はこれを読みながら、今度日本に帰国する時は絶対に会いに行こうと心に決めた。もっと私に渡したい本があるので、名古屋に帰ったら取りに来て、とも書いてあった。その時まで、どうか元気でいてほしい。