好天気

の今日。うちにいては勿体ないので、久しぶりに、気に入りの川辺に出かけた。先月一度、雪の日にこの川辺に来たけど、こんないい天気の日にここに来たのは去年の秋以来かもしれない。

この小さな町は私のお気に入りで、時々来たくなる不思議な魅力のある場所なのだが、今日はまた、小さな町らしいほのぼのとしたことがあった。

以前から、このコーヒーハウスは知ってはいたが、いつも閉まっていたので、いつか行ってみたいなと思っていたのだが、今日はたまたま開いていたので、入ってみた。コーヒーハウスと書いてあるものの、店の中は、趣味の雑貨屋さんという感じで、確かに、コーヒーカップティーカップがいろいろ並んでいるし、コーヒーも紅茶も売っているんだけど、ほとんどが、その辺で集めてきたかという可愛い雑貨が、この小さな店中に所狭しと置いてあるというところだった。それに、何故だか、普通のコーヒーハウスではない椅子の並べ方。椅子が何列も並んでいて小さな秘密結社の集会がありそうな雰囲気を彷彿とさせていた。

が、そこへ、どうぞいらっしゃいませ、とそこにいた男性に声かけられ、さらに、ここで音楽会があるけど、それに来たのかと聞かれたのだ。

へえ、音楽会って何?

誰でも演奏したい人が自由に来て音楽を弾き合うんだよ。もうすぐ始まるから見ていったら?音楽はやるの?アンプを使わない生楽器だったら何でもいいんだよ、

などなどと話され、ふと周りを見ると、ギターを持った人たちや、バッグパイプを吹くかと思うようなスカート姿の男性や、ふーん、不思議な雰囲気。どうやらこの辺の地元の人たちが土曜の夜にここに来て自由に音楽会をやっているということらしい。

その内に、一人がギターの弾き語りを始めた。ジャンルとしてはカントリーだったが、なかなか声がよかったし、聞いている人たちは神妙に聴き入っている様子で、暖かくほのぼのとした気持ちになった。

そこへ、今度はお店の持ち主のおばさんが話しかけてきて、この辺の土地の由来を話し始めた。オカカン(土地の名前であり、川の名でもある)とは、原住民の言語で、at the end of the waterなんだよ、昔、この辺に原住民が住んでいてね、水の終わり、つまり、大きな滝があったのよ、今はダムをつくったので、滝は動かされてしまったけどね、とか、この店の建物は1854年の建物をそのまま使っているのよ、見て、木のハードフロア、その頃のままなのよ、とかなど、都会の近くにあるのに、ここだけ時間が止まっているような世界を誇りに思いながら、それを大切にしているような空間があった。

実は、それが、私がなぜこの町が好きなのかの所以なんだと思うし、ずっとそんな空間に惹かれていたのだと思った。