ラフマニノフの世界

友人のロシア人ピアニストのコンサートのイベントの世話をしていたが、このイベントが今夜、あるホテルで催された。私は、クラスがあるので、本来行けないところなのだが、彼女の世話をしていた関係で、少しは、行ったほうがよかったので、最初のクラスを少し早く終わり、あとのクラスを遅く始めるという手配で、40分ほど、行くことができた。

このイベントは、彼女が、ロシア語で詩の朗読をはさんで、ラフマニノフの諸作品を演奏したのだが、彼女のピアノは素晴らしいのに、なんと、このホテルには、ピアノがなくて、電子ピアノだったのだ。

彼女は、ピアノと言ってたけど、彼女のレベルの高さから言っても、こんな楽器はとんでもないのに、よくも彼女は合意したなと信じられなかった。私が彼女のために会場を探している時に、彼女自身も探していて、ここに決まったから、もう探さなくて良いよと言ってたけど、実は、私は、このホテルでピアノを見たことがなかったので、どんなピアノがあるのかなと気になってはいたのだけど、まさか、電子だとは思わなかったのだ。

電子にしては、いいものではあったが、やっぱり、このレベルの曲には、合わないし、それなのに、彼女は音楽的に素晴らしく弾いていたので、私は、聴きながら涙が出てしまった。彼女は、英語を書くことはできるけど、ほとんど、喋ることができないので、いつも、コミュニケーションは、本当に大変だけど、とても私を信頼してくれて、気に入ってくれているので、なんとか、彼女のためにと頑張ってしまうけど、これだけは、全然、気がつかなくて申し訳なかった。でも、そんな逆境の中で、何も動じず、あのように弾ける彼女は素晴らしかった。