素晴らしい秋晴れ

今日ほど、過ごしやすくて、晴れやかな気持ちになることはなかった。と大げさかもしれないけれど、まずは、本当に気候もよく、過ごしやすい一日だった。

しかしながら、今朝は、実は重い気持ちで出かけたのだ。数ヶ月前に玉突きの交通事故になり、実のところ、私が発端だったので、罪ありと、さっさと罰金を払ってしまおうかと思っていたのだが、検察官の友人に話したら、罰金を払ってしまったら事件は終わるけど、そう簡単に罰金払わないほうがいいと言うのだ。つまり、それで罪を認めると、汚点はつくし、保険料は上がるし、いいことは何もない。でも、裁判に行けば、負ければ、実は罰金は高くなるけど、勝つ見込みもあるのだという。つまり、自分の言い分も言える状況になるのだからと。
とは言え、私の中では自分が悪いと思っているし、しかも結局罪ありとなって罰金も高くなるなら余計、あまり乗り気ではなかったのだ。でも、彼が絶対に、裁判所に行ったほうがいいと強く勧めるので、一筋の希望を持って行くことにした。だから、気分は乗らない。面倒だし、また自分の正当性や言い分を主張して燃えなくちゃいけないのは疲れるし。それに、相手の車の運転者がDC近くに住んでおり、罰金を払ったかの問い合わせを夏にもテキストで送ってきたりしていたので、それもプレッシャーだった。なんか、怒らせて何かされるのではないかと思ったり。。(つまり、この人は自分は悪くないのに、裁判があれば、仕事を休んで、裁判に来なくちゃいけないから、できれば来たくないと思っていたのだと思う)でも、友人は、一体彼に何が出来るのか、そんなテキスト無視すればいい、何かもっと言ってくるようだったら、自分が対処してあげると言ってくれて、しかも、裁判の当日に私と一緒に座ってくれるとさっそく自分の予定表に私の日付を入れたりして本当に親切。これだけは心強かったが、やっぱり、気分はすぐれなかったのだ。
だから、今朝は緊張していた。ところが、なんと、この相手の運転者が来なかったのだ。つまり、証人はいないということになり、警察官はこれ以上事故があったとの証明は出来ない。単に車が壊れた事実があるだけということになり、裁判官は、Do you want to leave or want to testify yourself?(ここを出たいか、それとも、言い分を言って証明したいか)と私に聞いたのだ。私は、心の中で、立ち去りたいに決まっているけど、言い分を言いに来たのだから、そういって良いのか悪いのか、一瞬戸惑っていたら、なんと、隣にいた他の警官が私に小声で耳打ちして、Tell him you want to leave and have a good day.(ここを出ていい一日を過ごしたいと裁判官に言いなさい)と言うじゃない。私がI want to leave.(出たいです)と言ったら、裁判官は、OK you can leave now.(いいですよ)と、にっこり笑って、うなづいた。
私は罰金すらなく、ただ立ち去ることになり、予想外だったので、もたもたと緊張して、あちこちふらふら歩いていたら、友人がこっちだよとエスコートしてくれて、裁判所を出た。
なんだか皆に微笑まれて、私はずいぶん、見た目が滑稽だったのかもしれない。でも、こういうことがあるこの国は、素晴らしいと思った。この深刻な裁判所の雰囲気の中で、ユーモアと親切、なんて、日本では私には想像できない。私の真剣さに対して、周りの暖かさを感じ、感動的だった。