機中にて。

コンクール受賞者演奏会で、うちの生徒は、本当によく弾いてくれた。素晴らしい演奏だったので、それが、みんなにわかったようで、多くの人たちが私のところにも来て、たくさん素敵な言葉をかけてくれた。彼は本当に才能がある、と絶賛。本当に嬉しかった。彼は才能があるけれど、才能だけでは駄目。これだけは、自分で、誇りを持って言える。彼はレッスンなしでは、絶対に勝てなかったから。彼の公立校がよくぞ彼の才能を見抜いてくれたと思う。私に払う月謝がもらえたからこそ、私のところに来れたのだから。これで、かれは、その辺のレベルの単なるミュージッシャンではなくて、ちゃんとしたクラシックレベルでの教育が受けられる機会を得られたのだ。そういう意味で、私は、本当に頑張った甲斐があって、ちょっとしたフレーズでも、私だけの中だけど、感動していた。たとえば、四つの四分音符のスタッカートの弾き方を何度注意したことか。なかなか直らなかったけど、昨日は、完璧だったのだ。三連ぷとか、スタッカートとか、曲想とか、ダイナミックとか。。。
彼には、自分の内の中に音楽があり、人に感動させるものがある。これが一番大切なのだ。わずか、10歳になったばかりで、このコンクールでも最年少。これからが本当に楽しみだ。あるバイオリンの先生が、私のところに来て、彼は本当に才能があるから、ぜひ、うちの生徒と、合奏させたいと言われた。素晴らしい申し出。このリサイタルがここのテレビにも取り上げられ、しかも、彼の弾いている写真が載せられた。感動。
でも、彼は全然欲がなくて、とにかく、ピアノが好きでたまらないのだ。今日のリサイタルでも、私が忙しくて、到着がギリギリになってしまって、練習している楽屋に覗きに行ったら、なんと、違う曲を弾いてるのだ。私は、思わず、何やってるの、今日の曲に集中して!って叫んだら、緊張をほぐしてるっていうのだ。もう、信じられない。でも、一方では、他の曲がいつでも弾けるように、自分の中に入っているなんて、ある意味、すごいことなのだと思うのだけど。。。
私はその直後、出かけなければならなかったので、慌ただしかったが、本当に嬉しかった。
今年は、どうやら、他の人たちの世話をするとしと思われる。急のことができて、春休みということもあり、この時期に急遽、日本に飛ぶことに。
だから、この演奏会を途中で抜け出して、空港近くのホテルに一泊。ところが、朝、予報通り、雪で一面の銀世界。綺麗なんて言っている場合じゃなかったけど、なんとか、無事に飛行機に乗れた。