赤き心と悠々の生

毎年、この時期に自筆の絵画を入れた手作りのカレンダーを送ってくださる年配の友人がいるのだが、今年はカレンダーはなく、長いお手紙が送られてきた。

一応、健在ではいらっしゃるようで、ほっとしたものの、昨年9月になさった個展のあと、体力気力をすっかり崩されてしまい、絵筆が持てなくなってしまわれた3ヶ月だったそうだ。今、まだ心の中心を失っている状況とのこと。状況が見えて焦ると、さらに悪化して、自分を失うという実感も持ったという。

そして、「人生有限、赤き心と悠々の生」とあった。赤い絵画への情熱と78歳の生き方を示しているそうだ。今は、静かにしているとのことだが、私にカレンダーが送れない状況にある苦しさ、つまり、絵筆が取れない状況の苦しさ、以前、絵筆は自分の生きる証であり、生命だとおっしゃっていたことを思うにつけ、今の状況、その苦しさがどれほどなものかが、うかがわれて悲しくなった。

彼は元気を出して作る日が必ず来るから、どうか待ってほしい、そうでないと、自分が駄目になるからと。。。

きっと、彼がまた絵筆を持てる日が来ると私は信じている。