ピアノを教えて

もう何十年になるかしれないのに、本当にさまざまな生徒に出合ってきて、それぞれ、教えながら学ぶことも多いけど、最近教え始めたある生徒は、本当に驚く。これで三ヶ月目なのだが、実は、一年前に一度だけ、会いに来たことがあった。そのとき、私の値段が払えないのと、距離が遠いので、来れなかったのだが、ここに至り、学校から才能がある生徒だと見なされ、市から月謝の援助が出るとのことで、私のところに来ることになった。(こういうシステムがあるのは、アメリカのいいところだと思う。)
まだ9歳なのだけど、特にちゃんとしたレッスンを受けてないのに、CDを聞いてソナチネ一冊覚えてしまっていて、どのページをめくってもすらすら、楽譜も結構初見でも読めるし、とにかくどれでもすらすら弾いてしまうのだ。でも、その「すらすら」が問題で、確かにどんどん弾いてしまうのだけど、家にピアノがないから、まず、指が弱い。指が弱いのに、ベートーヴェンソナタが好きで、あまり、ちゃんとした音が出てないのに、すらすらと。。。ああ、なんと言う。。普通は譜読みで時間がかかったり、指が動かなかったりで、ゆっくり片手ずつ練習して等等をするのに、この子は、指は速く動くし、心に音楽があって、すらすらと、でも、一つ一つの音がちゃんと鳴ってないのだ。
だから、なんとか、分かってもらってテクニックの練習に焦点を当てることにして頑張ることにした。初めは大変だったけど、驚くほどに、音に命が出てきて本当に楽しみになってきた。余程ピアノが好きのようで、暇さえあれば、なんとジョップリンのかなり高度な曲を遊びで弾いたりしているし、ショパンのワルツをすらすらと弾いたり(ショパンは指が弱くてもきれいに聴こえる)。なんでも、その辺にある私の楽譜をめくっては、弾きたがるのだ。確かに驚くべき才能が見えるのだけど、今が肝心、こういう才能をうまく育ててあげないと、せっかくの才能を駄目にしてしまうと思うのだ。ここで、きちんとしたテクニックを身に着けないと、もう駄目だと思うと、私も責任を痛感し、毎回のレッスンが戦いのようになってきた。
おそらく、学校やその辺では、それだけ弾けるから、ちやほやされているのだろうけど、それは、その辺の人たちは素人だからだよと納得させ、私も必死で、なにがちゃんとしたピアノの音なのかを分かってもらうために誠心誠意頑張ってきた。お母さんは私の言っていることを理解してくれるので、有難い。私のことを信じてくれるから、遠いのに、通ってくれるのだと思うと、本当に今が正念場、なんとか、ここを切り抜けて欲しいと願うばかりである。幸い、何を弾いても楽しそうなのはいいんだけど。



さて、この間、日本のチョコレートをもらった。メリーチョコレートって以前からあって、私の記憶では特別というわけではないけど、可愛い雰囲気だったっけ。これも然りで、可愛い包装に魅かれて写真を撮ってみた。