センチメンタルな秋

急に涼しくなり、夜は寒いくらいになった。日も短くなってきて、いよいよ秋。ちょっとセンチメンタルな今日この頃。
夏から会っていなかったモロッコ料理の店長に会いに行ったのだが、またもや、彼に美味しいワインとお料理などをたくさんご馳走になってしまった。このレストランは、ワインも美味しいし、タジンも美味しい。実は、個人的にはラムは苦手なのだけど、今日のラムのタジンは最高で全くくさくなくて、やわらかくて、本当に美味しかった。レストランで一人で食べるのは普段は苦手なんだけど、この店では、店長はもちろんのこと、店員も顔見知りで、途中話しかけてきてくれたりして、本当に楽しかった。
最近いろいろあり、考えることも感じることも多く、普段よりもピアノに没頭して気持ちを集中させようとしている。私にはピアノがあってよかった。

ところで、私のピアノの一人の10歳の生徒もおそらくピアノで救われているのかなと感じている。この子は、貧しい家庭に育ち、でも、才能が認められて学校からレッスン代を出してもらえているので、私のスタジオに来ている。譜読みの能力もすごいし、音楽性もあるし、指もよく動くし、時々、その才能は驚くばかりなのだけど、ちゃんとした指導を受けていなかったので、テクニックがめちゃくちゃ。家にピアノがないので、指も弱いし、時々、本当に大変なのだけどこの子は、ピアノが本当に大好きで、毎日、暇さえあれば、弾いているようなのだ。特にベートーヴェンが好きで、今日も新しい曲を初見でさらさらと弾いて、本当に驚いた。
その成長を見守るのは本当に楽しいけど、どうやら、家庭環境が悪いようで、昨晩、遅くまで寝られなかったと言う。家で家族の問題があり、喧嘩でうるさくて寝られなかったとのこと。たまたま今日はお母さんがいなかったので、彼はそんなことをいろいろ話してくれて、私に聞いてもらいたいようだった。話を聞きながら、この子は、ピアノで救われているし、私に話すことで精神的に落ち着かせているということを、今日、初めて感じ、なんとしてでも、この子のピアノを成長させ、更に、心の糧と支えになるように、少しでも手助けが出来たらと、心に誓った。
本当に純粋で、お母さんもいい人だと思うけど、家庭環境のことは、その子のせいでもなんでもない。異母兄弟、異父兄弟、という複雑な中、そんなに小さいときから、そんな複雑な家庭環境を説明しなければならないなんて。。。こういう子供たちにこそ、音楽は絶対に必要だと思う。
一生懸命打ち込める何かがあり、それが感性を育てる情操的なものである音楽は、素晴らしいもの。ある意味、それに才能のあるこの子はラッキーなんだと思う。この幸運を絶対生かせるように、私も頑張りたい。