今週末、

音楽のフェスティバルだっていうのに、一人の生徒が右足の親指を骨折して、松葉杖でレッスンに来た。医者に絶対に右足を動かしてはダメだと言われたとかで、ペダルが踏めない。。。私はがっかり。。それなのに本人は、左足でできるよって、けろっとして言う。とりあえず、レッスンしてみたら、なんと、左足でも問題なくやってのけるのだ。ベートーベンはなんとかできても、シューマンはソフトペダルも使うので、仕方ない、ソフトペダルはやめることにして、指のタッチで音色変えてって要求。これも上手にこなしたので、人間、切羽詰まったら、できるということなのか、11歳という若さなのに、そのガッツには恐れ入った。私の心配を横目に、怪我してかえってチャレンジ精神を燃やしているんだから。苦境こそ力ということなのかな。

一方、昨晩のクラスで欠席した学生に会った。この学生は、昼間チラチラ降っていた雪を見ながら瞑想していたそうで、昨日は何もできなくてクラスに行けなかったと言った。瞑想の後、何か得ることできたのかって聞いたら、全てがパーっと開けて、いろいろなことがはっきりと見えた途端、クラスを休んだことで、申し訳ないと思ったと言った。普段よくできるいい学生だし、性格もいいし、真面目なのに、何か、悩みがあったんだなと思った。
見えるものの実体が一体なんなのか考えていて、全てが光の反射で見え、人の心も自分の見ているものを信じて判断しているに過ぎないと感じたと言った。
私も、確かにそうだよね、でも、真実は、ひょっとしたら、その本人にもわからないのかもしれないよ、みんなそれなりに一瞬一瞬を判断して信じて生活しているんだと思うし、後悔なければ、それでいいんじゃないって言ったのだが、彼は私の言葉にうなづきながら、申し訳ない気持ちなのに理解しようとしてくれてと有難がっていた。
とりあえず、彼が心を割って話してくれて嬉しかったけど、若い時には、悩みも多いんだよなあ。と言う私も今だって悩みあるけど、内容的にずいぶん違うし、そういう哲学的な悩みで時間を過ごすことができる若さというか青春時代が懐かしいなって思う。私自身、学生時代、そういうタイプの若者だったから。