琴書且自娯

金曜日の日本庭園で書道、和歌、俳句イベントは、大成功だった。本当に今までのイベントで、最高のものといっても過言ではないほど素晴らしかった。
はじめは、和歌を学生に詠んでもらって、書道家に書いてもらうというパーフォーマンス。その後、競技カルタのデモンストレーションを学生にしてもらい、みんなで坊主めくりに興じて、なんだか知らないけど、私が勝ったのだが、最後に俳句作りをした。
実は、俳句作りをするに当たって、どう指導するかに頭使っていた。日本語も分からない学生も来るし、日本語の語彙も少ない学生たちにどうやって作って楽しんでもらえるかをいろいろ考えていたからなのだ。でも、結果、すべて最高に行って、全員が素晴らしい俳句を作ることができたのだ。みんなの感性に感動した。
基本は、人間は同じなのだから、言葉ではなく感性だということを特に強調して、たとえば、葉っぱをどう見るかの説明をして、きれいだという形容詞を使わないで、葉っぱがきれいだったら、形容詞を使わずにどう表現するかを考えさせた。たとえば、下から覗いてみる、下から覗いたら、何が見えるか、虫がいるかもしれない、その上に誰かの顔が見えるかもしれない、そしてその向こうには青い空が見えるかも、と言って、感性を引き出させるようなアプローチの説明をして、言葉ではなく視点であるし、中身なんだということを強調した。
素直な彼らは、一人一人なんと素晴らしいものを作ってくれた。それを書道家に書いてもらった。
そして、最後にみんなで庭を一緒に歩いたのだが、そこで学生たちが話す言葉が細かいところに気がついて、とても感性に満ちているので、私は、本当に本当にうれしかった。こんなにもこの短い時間の活動が影響するのだ。そして、実は私も一瞬で自分の俳句を作ったけれど、学生を手伝うので忙しくて、本当に10秒で作ったわけなのだけれど、指導しながら、細かく見る目が一瞬で養われたのか、感性が芽生えたのか、運転しながらの帰り道、すべて考える言葉が俳句化している自分に驚いたし、可笑しかった。
こういう活動をすることによって、養われる感性は、絶対に人としても貴重で素敵な経験になると自ら感じることができた。
また折りしも、この庭園に行くのに、今まで毎回いい天気だったのだが、今週は、前夜にすごい嵐となり、今度こそ、嵐だわって思っていたら、朝は曇りでもみるみる内に晴れてきて、しかも涼しくて過ごし易く素晴らしい天気となったのだ。晴れの週の今日だけ、雨なのかと思って、学生たちに冗談言ったけど、一人の学生が、いいえ、雨が降ってもいいんですよ、その前日がすごく暑かったからこんなに涼しくなって、むしろ雨でいいんですよ、と言う。こんな学生たちの前向きな態度が、大成功のイベントに導いたに違いないと思った。